映画「ファイナルファンタジー」を観ました。

 観に行く予定の前々日に、新聞記事を見つけました。ファイナルファンタジーが不振で今週でうち切り、スクウェアは130億円の特損を計上、映画から撤退、と。そして、不振の原因をこれから調査するという社長の談話。ゲームでFFのCGに惚れ、期待していただけに、ちょっとショックでした。でも、それでは、FFシリーズは第1作からリアルタイムで見てきている(残念ながら第1作は自分自身でプレイしたのではないのですが、第2作からはずっと数字の付くのはリアルタイムでプレイしてきいる、古参のファンである)私が不振の原因を調べて上げましょう、という気持ちで劇場に臨むことになったわけです。

 そんなふうに半ば批判的な先入観を持って観に行ったわけですが、私なりに、不振に終わった理由がいくつか思いつきました。まず、ストーリーがゲームのシナリオっぽいんです。前に、FFのゲームは映画の合間にゲームをやらされているようで面白くないという批評を読んだことがあります。私自身は「映画の合間にゲーム」がまるで映画のストーリーに入り込んだようで感情移入もしやすく盛り上がってしまう質なので、「面白くない」って批評に、そういう感じ方もあるもんだ、と思ったものですが、今回はゲームなしで、映画のみです。そうなってくると、この「ゲームのようなシナリオ」って無理があるんですね。下手すると説明的になりすぎる、かといって説明を省くと意味不明、っていうのが大まかな印象です。ゲーマーには良くても、一般受けしにくいストーリー展開なんではないかと思いました。

 次に感じたのは、CGがリアル過ぎること。いえ、リアルなのはかまいません。皮膚や髪もまるで実物のごとくに再現したのは見事なものだと思います。私が言っているのは登場人物。リアル過ぎて、まるでどこにでもいるような平凡な顔立ち。わたし的には、せめて主役は絶世の美男美女にして欲しかったと思います。特にヒロイン・アキの顔。いわゆる「美人」なのかもしれませんが、少なくとも日本のFFファンには受けそうにない顔立ちです。相手役のグレイも、まだ実在の映画俳優の方がハンサムじゃん、と言いたくなるような普通の顔。ユウナかリノアのような少女を主人公にし、相手役にもスコールのような美形キャラをもってくればよかったのに、と思うのは、かなり私の趣味的な部分が入った感想ですが、本物のような「CG映画」を目指しすぎたんじゃないかと思います。結局、一般の人にもFFファンにも受けるようにと狙って、どちらにも受けにくいものができちゃったんじゃないでしょうか。

 などと、厳しいことをいろいろ書きましたが、個人的にどうだったかと言うと、実は、かなり気に入りました。観て良かったと思います。少なくともFFファンなら観るべき、と言い切っちゃいます。平凡でつまらない顔に見えたグレイも、映画を見終わると、ぐっと男前に見えちゃうから不思議なものです。それにFFファンなら忘れちゃいけない、シド。映画では博士ですが、主人公の力になるという役回りは、不変。CG的にも性格的にも文句ない出来と思います。それから、主人公を支える仲間達。ゲームほど多人数でパーティを組むわけではないのですが、それぞれの個性がきちんと表現されてい、それがまたFFっぽいんです。

 スクリーンいっぱいに広がるモンスターの映像や未知の惑星の映像、その他さすがスクウェアのCG、見応えいっぱいです。あのゲームでは、ちょびっとずつ、しかも、自宅の小さなTV画面でしか見れなかったムービーが劇場のスクリーンで、しかも長時間観れるんです。先の「面白くない」と評したゲーマーならともかく、FFファンならスクリーンで観ておくべきです、って、もう公開終わっちゃいましたね…。私は、DVD出たら買うつもりでいますが、できるだけ大きな画面で観たいですね。

 ということで、映画スタッフがなんでウケなかったのかわからない、と首をひねってますが、FFファンになら受ける出来だったと思います。映画からの撤退が本当に残念です。でも、一つ忘れちゃいけないのは、ゲーマーは出不精ってことでしょうかね。ゲーマーが必ず出不精だと言うわけじゃないですが、そもそも出歩いてばかりいたら、ゲームできないじゃないですか。大作が出ると、某CMじゃないけど、窓に板打ち付けてでも没頭したくなるようなゲーマーばかりじゃないと思いますが、FFは好きだけど、映画館までわざわざ出向くのはなぁ、と思って行かなかった人、いるんじゃありませんか?そんなわけで、早いうちにTV放映やDVD販売すれば、かなり損失を回収できるんじゃないでしょうか。

 最後に、映画から撤退するという決定がとても残念ではありますが、それが覆されないのなら、今の私の願望は…スクウェアとコーエーが共同して、この美麗なCGを駆使した恋愛シミュレーションゲームを作成してもらうってことですね。スクウェア単独でもいいんだけど、女性向け恋愛シミュレーションゲームのノウハウの一番はなんといってもコーエーですからね。コーエーのアニメも捨てがたい魅力を持っていますが、やはりFF並のCGでネオロマンスを作成して欲しいです。…って、そんなことしたら、ますますスクウェア赤字で倒産するかなぁ………女性向けゲームは市場狭いから………
 

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